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「奇跡の夜」
奇跡のような体験だった。11月23日の夜、松本のホールの2階席の片隅でぼくは小澤征爾指揮、SKOの演奏による「エグモント序曲」を聞いた。聞いたというより、美しい芸術が無人のホールいっぱいに満ち溢れるのを体験した、というべきかもしれない。久々に小澤さんの指揮を受ける演奏家たちの感動はいかばかりだったか、多分涙ぐみながらの演奏だっただろう。ぼくは音楽については門外漢だが、音楽史上でも屈指の「エグモント序曲」だったに違いない。
小澤さん有難う、どうかいつまでもお元気で。満州出身という同じルーツを持ち、しかも二つか三つ年上の ぼくからの心からのエールです。
YOJI YAMADA
山田洋次
映画監督
2022年の最後に、小澤先生の宇宙に向けて音楽をするお姿を拝見できたこと、幸せでした。
指揮者小澤征爾の細胞の全てから『気』が発せられ、オーケストラの皆さんが動き出す瞬間は、一気に宇宙空間まで瞬間移動する快感でした。
たくさんの問題を抱えた地球ですが、何とか一つになって、美しい笑顔に溢れた世界になって欲しいと改めて思いました。
KOJI YAKUSHO
役所広司
俳優
みなさんの地球に対する思いがとても伝わってきました。
今回の演奏は、小澤征爾さんの今までの功績、そしてサイトウ・キネン・オーケストラとの信頼関係があってこそのものだったように思います。とても、愛を感じるものでした。
その愛の結晶が地球で奏でられ、宇宙に届く・・・そしてそれをまた地球で見ることができる。
その愛の循環を可視化することが大切だったのかもしれません。
MAYU TSURUTA
鶴田真由
女優
小澤先生がエグモントを振られるお姿とそのお顔を拝見して涙が止まりませんでした。
これこそが音楽だ!と。僕がずっと追いかけている音楽の完成形を目の当たりにして言葉がありません。
SKOの演奏を拝見した時、これこそ僕がずっと追いかけている真のオーケストラの姿であり、ジャンルを超えた全ての音楽家のあるべき姿だ、と胸の中が幸せのエネルギーでいっぱいになり息が苦しくなるほどでした。
それはとてもシンプルだけどとても難しい「聴くこと」。百戦錬磨の一流の音楽家だから聴こえてくる小澤先生の心の中になっている音楽、それをコンマスの豊嶋さんをはじめ、それぞれのオーケーストラのメンバーが必死になって聞いている。目に見えている小澤先生の手や指の動きを超えて、小澤先生の表情とその目の遥か奥の方で先生に聴こえている音楽をなんとか聞き取ってそれぞれがその音を奏でる。そしてそんな強者たちに、そうしたいと心から思わせる小澤征爾というこの世に存在する至高の音楽家。
MAKOTO OZONE
小曽根真
ジャズピアニスト